2012年7月25日水曜日

消費増税の本丸 【新説】

過日、反原発、脱原発問題において、『マスコミの論調は次元が低すぎる』と書かせていただいたが、本日の産経の論説委員の方の書いた記事で、私と同様の意見記事が掲載されていたので要旨を紹介させていただく。
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産経新聞オピニオン欄 風を読む 『野田総理の朝令暮改』 論説副委員長 高畑氏 【要旨】

電力会社社員が出席し主張を展開したが、脱原発反電発側の批判が殺到したため、政府はあわてて発言者選びのルールを変えてしまった。
産業界からは、「0%」「15%」「20-25%」という選択肢でも日本の経済成長を確保できないとの懸案が高まっているのが実情だ。
首相は聴取会にいささかの疑念も生じさせてはいけないとし、国家戦略担当相は「電力会
社員の意見表明はお断り」と選定方式を一方的に改めた。のみならず、1回9人の意見表明を12人に増大した。これでは、反原発、脱原発派の意見が恣意的に増大してしまい、かえって疑念を増大させてしまう結果になりかねない。
会社ぐるみ、組織ぐるみがいけないのなら、反原発などの市民団体の意見も規制すべきだ

電力会社関係者でも、個人として参加し発言する機会まで封殺するのは、個人の自由や職
業選択の自由を冒涜する乱暴な政策だ。
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電力会社の人間の意見を最大限尊重せよ、とは書いていないが、結果的にそう読めるぐらい公平な観点に立脚していることに拍手したい。
産経新聞の不思議なところは、社説と論説が違う意見のところがあったりすることである。社説は新聞社としての利益がその背景にあったりするが、論説は公平な視点で問題点を抽出しているようで、私の意見とも一致することが多い。正直、消費税問題では各社諸手を挙げて『賛成』しているのに対し、論説では『中間層を破壊』するとし、反対の立場を表明している。

政策というものは、この政策をどのような手段で実施するか、と、この政策を実施すればどれだけの人が幸せになるか(結果)を分析することに尽きる。原発を再稼働せず、停止したままだったら、いったいどれだけの人が幸せになるのだろう。その反面、どれだけの人が迷惑を被るだろう、どれだけの人が命を奪われるだろう、といった幸せと不幸の総量を計算する。では、原発再稼働で、どれだけの人が幸せになるか、不幸になるかを計算する。この手法はJS.ミルの『最大多数の最大幸福』の手法である。

では、消費税問題ではどうか。民主ばらまき政策、震災復興、借金財政、財政を巡る状況は混迷を極める、と喧伝されており、広く一般から税負担を求める、とされているが、実はその本丸は社会保障政策だったりする。しかし、消費税の使い道となる社会保障分野については、国会論議においても迷走しているような印象を受ける。このあたりは私は門外漢なので、なんとも言えないのだが、借金がいくらあり国民一人あたりこのくらいです、だから消費税を上げなければいけない、という宣伝工作なんかも長年すり込まれているような気がする。しかし、日本国民の借金は投資として国民が引き受けている(国債という貯金)ので、元総理の麻生さんが言うにはそんなには心配ないそうだ。プラスマイナス0と考えてもよい、ということになる。

では、なんで消費税を上げるのか。その本当の本丸についてはもうちょっと考えてみる。

日本の政府は、国内問題に鈍感で、国際的圧力に弱いという特徴がある。その点から論じてみると、たとえばこんなふうになる。
仮に、日本で100円で売られる商品を作ったとする。で、これを合衆国に輸出したら(輸出品の日本国内での消費税は結果として還付されるので)仮に合衆国で1$(仮に100円=1$というレートである。)で売ったとする。しかし、合衆国では、週ごとに税率が違うらしく、税率は10%程度らしいので、110円を売り上げる。で、売上を記録した会社の日本法人にその110円を送金するとどうなるか。
仮にその商品を日本で直接買ったとすると、日本の消費税率は5%なので『安い』ことになってしまう。
こういうことになれば、日本で直接買い付け、個人輸入を偽装して日本に消費税を払った方が良いという、『抜け荷』のような商売が横行するのでは、という危惧が発生するがそれについては定かではない。
ただ、この単純な机上の空論とも思えるモデルは、国際的な需給バランスを崩す一因にもなっている、と各国政府は考えているのではないか。

実際は、1$=100円などというレートはとんでもない。日本の輸出は相変わらず多いので、円に人気が集まり円高傾向にあり、日本からの輸出は半ばダンピング(これは日本の消費者が負担しているとも言えなくもないのだが…)というか企業努力により、なるべく安価を維持する方向で輸出されている。だから、110円の売り上げを記録してもそれを日本に送金したところで、その商品は130円くらいで売られているはずなので、メリットはまったくない。しかし、日本企業が強い=消費税が安いから、という言いがかりをつける国もいるはずなんで注意が必要である。

経済はメカニズムであるが、本日はうまく書けなくて申し訳ない。

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