2015年9月27日日曜日

プラチナ プレジール万年筆

毎日、万年筆を使っているが、一番気に入っているのはペリカンM250でニブをM400に換装したものである。全部で正直三万円以上かかっているが、正直書き味はよろしくない。ただ、ちょうどいい軽さと日本語の筆跡はダントツにキレイである。多少の引っ掛かりがうまくかける要素でもある。これは人によって異なる部分でもあるけれども。
金ペンは柔らかいので、筆記中はニブが開く。開いたところが多少引っかかるので、勢い余った筆跡の私にこの微妙な引っ掛かりがブレーキの役割を果たし、ちょうどよい筆跡となる。
また、その他普段使っているのは、Watermanのメトロポリタン、PILOTのCOCOONあたりだろう。メトロポリタンより高いエキスパートもあるのだが、ペン先が気に入らず、またちょっと私には重いため普段使いには使っていない。メトロポリタンもCOCOONも比較的つるつる系で書き味はいいのだが、COCOONがつるつるそのものだとすると、メトロポリタンはさらさら系のブレンドがあるといったところだろか。それぞれ、極端なところ個体によってずいぶん書き味が異なるところが万年筆の醍醐味でもある。

さて、最近、家族で市街地の文房具屋に立ち寄って万年筆を眺めていたところ、見慣れない万年筆が置いてあった。プラチナのプレジールという商品名である。名前は聞いたことがあるが、私の万年筆データベースにはこんなにしっかりとした万年筆ではない記憶が…。キャップをはめたままだと、金属軸なのでPILOTのCOCOONあたりではないかと見間違うくらいの一応『高級感』があるし、またキャップを引き抜くとああ、やっぱり、というような大量生産向けの透明軸が、プラチナスタンダード型鉄ニブをくわえこんでいる。各色をそろえ、ペン先は0.3(細字)、0.5(中字)がある。買うつもりでやさしくペン先をさわってみたら、『?!』。久々のヒットの感触。これは…、ということで買ってみた。


さて、肝心な書き味であるが、プラチナは一般的に『サラサラ感』が強いのであるが、これはインクフローも良好で、『つるつる感』が強い。ペリカンやウォーターマンの鉄ペンに比べると、限りなくパイロットの鉄ペンに近いのである。日本語の漢字は、頻繁に筆記角が変わるので、場合によっては引っかかることも(特に舶来物はその傾向が)あるのだが、この万年筆はよく磨かれているようでそれも目立たない。正直なところ、これでよく1,000円で提供したものだ、と驚いた。ペン軸を黒軸に変えれば、国産であれば3,000円、舶来品であれば5,000円(もしくはそれ以上)であってもおかしくない。それだけ素晴らしい一品である。
このニブは一般的な細字よりも太いようだ。海外製の細字ニブと同等と考えてよい。また、勢いに任せて書き殴るクセのある私にとっては、つるつる感が強すぎて大きな文字ならばよいが、小さい文字はこの万年筆は書きにくい。また、金属軸(たぶんアルミ軸)なんだろうけれども、軽すぎて、また表面がつるつるしすぎて持ちにくいかもしれない。ただし、書くときは指先がプラスチック部分にくるので、実際の使用時においては滑る心配はさほどないだろう。
一番のすごさは、こんな安価な製品であるにも関わらず、あの『スリップシール機構』が搭載されていることである。勘合式万年筆は概してインクが乾きやすいが、この製品は確かに書き始めがしっかりとしている。ペン軸が割れたりしなければ、長期間使える万年筆になり得るだろう。
とりあえず、万年筆を使ってみたい方にもおすすめの一品である。この製品は安いわりにスゴイ。

そういえば、昨年末に注文した、プラチナ3776 Century(超極細)http://www.platinum-pen.co.jp/fountainpen_century_new.htmlは、本当に極細で、最初は取り扱いが難しかったものの、慣れるとかなり小さい文字が書けるようになった。これは普段使いとは言えない、用途限定の万年筆であり、手帳書きと文章の補正用に活躍している。納品まで時間がかかったのは、どうやらメーカー側でニブを削いだり研いだりしたためらしい。超極細の目的を達するため、インクフローは最低限に抑えられており、私の得意な速記には向いていない。ただ、この万年筆を使うとプラチナ万年筆の『根性』が感じられるのである。パイロットやセーラー万年筆とは方向性が異なる、モノづくりへの不器用な執着がダイレクトに感じられるのである。そうでもなければ、商品化の難しい、こんなにも手間のかかる『超極細』を、ほかの3776と同じ値段で提供したりしないだろう。
とはいっても、国産も舶来もそれぞれ特徴があって好きなんだけれども。

2015年9月25日金曜日

Windows 10でApacheが起動しない

Windows10にレベルアップしてみたら、なんとApacheが起動しなくなってしまった。

ということで、イベントビューアーを拝見したら、
『The Apache service named reported the following error:
>>> (OS 10013)アクセス許可で禁じられた方法でソケットにアクセスしようとしました。  : make_sock: could not bind to address 192.168.0.3:80』となっている。

まさか、と思って『Windowsの機能の有効化または無効化』を開いてみた。


なんと、IISが起動しているではないか。
これを無効化して、一件落着…。

2015年9月3日木曜日

インドネシア高速鉄道 決定前の報道に触れて

タイの高速鉄道につづき、インドネシアでも高速鉄道をやるんだとか。で、興味を持ったので最近の報道をまとめてみた。

日中の受注合戦 終点間近 インドネシア高速鉄道 8月30日 産経ニュース
日本 『総工費約50億ドル(約6千億円)の75%に、利率0・1%で返済期間40年、猶予10年の円借款供与などを確認。着工を2019年から16年に前倒しし、19年に試験走行、21年完成という計画を示した。』
中国 『総工費約60億ドルの全額について、利率2%で返済期間40年、猶予10年という条件での融資を提示。3%以上、最長25年という通常の融資に比べ、「破格の条件」(関係者)で日本に対抗した。』『また中国は、ジョコ氏の大統領在任中である18年に完成させる計画だ。短い調査期間と合わせて実現性を疑問視する声もあるが、通貨安や景気低迷に悩むジョコ氏には魅力的な提案だ。』
『ジョコ氏は12日の内閣改造で、知日派で新幹線方式の優位性を訴えていたゴーベル貿易相を更迭。中国案を推すリニ国営企業相は留任した。日本政府筋は「改造後の閣内にも日本の理解者は多い」と述べ、影響は限定的とするが、逆風となったことは否定できない。』

8月31日 (東洋経済オンライン)
政府筋『「中国案のほうが政府の財政負担が軽く、安全面の問題への対応も適切になされているため、中国案に傾いている」と述べた。』
別の政府筋『インドネシア政府が大規模なインフラ計画の発注で日本と中国の間でバランスを取ろうとしていると指摘した。日本は既にジャカルタの都市高速鉄道と石炭火力発電所の建設を受注している。』

インドネシア高速鉄道 大統領が採用決定へ 9月2日 NHKオンライン
『インドネシアが導入を計画している高速鉄道を巡り、日本と中国が受注を目指すなか、インドネシア政府は2日夜、関係閣僚による会議を開き、日中どちらの計画案を採用すべきかについて議論し、一定の結論に達しましたが、内容については明らかにしませんでした。』
『会議の結論は4日、ジョコ大統領に報告され、日中どちらの計画案を採用するか最終的に大統領が決定を下すことになっています。』

発表は5日もしくは7日だとか。これらを見る限り全体的に日本がかなり不利との印象を受ける。
すでにインフラ面で日本に発注をしており、『今度は中国に発注するかな、建設費も安くて安全面も中国のほうが上だし』と簡単に言ってしまえばこういう意思があるらしい。
しかし、そこには若干違和感が。建設費用はともかく、日本の運行システムの安全面とその実績は評価されていないのか?。

これは某掲示板で言われていたことだが、8月31日の記事は明らかに日本のことを書いている、という指摘があった。
『日本案のほうが政府の財政負担が軽く、安全面の問題への対応も適切になされているため、日本案に傾いている』
これなら世界中が頷く記事となる。報道の記者は案外いい加減なもので、政府関係者が混同してしゃべったことをそのまま書いた可能性がある。現時点では、日本中が失望しているが、案外杞憂に終わるのかもしれない。間違った記事を日本の報道機関は一斉に和訳して流しちゃってることは大問題だろう。もし間違ってるとしたら…ね。
もう一点、あえて9月3日を外した、という説も出ている。これは、中国側の対日戦勝記念日で、『中国に発注します!!』という発表を9月3日にしてしまうと過度に日本側を刺激してしまうので、9月4日以降にした、との説もある。某国の対日戦勝記念日など日本国民は全く気にしない。これも間違えている可能性が高い。仮に『日本に発注します!!』という発表を9月3日にしてしまうと過度に中国側を刺激する可能性はかなりあるだろう。

日本製は安全性は高いと一般的に言われているけれども、実は金額面でも日本有利、という話もある。細かい利率の計算なんて私はできないけれども、日本案は労働者と原材料は現地で調達するんだとか。これに対して、中国案は中国から原材料と労働者を送り込む。もし日本に発注するとしたら、インドネシア政府は日本人のやり方をよく知っている。なぜなら日本軍政下でも、現地で兵を教育したり、現地で産業を育成したり、というやり方をしたらしい。これが結局今でもインドネシアの皆さんに感謝されている礎になっているのなら、日本を採用する可能性が高い。特に、産業面で日本の建設技術に触れることで、産業の育成に寄与することは容易に想像できる。
もうひとつ、日本に確実に有利なもの、それはインドネシアに存在する歴史である。独立戦争において日本兵も実は戦い、相当国民感情は親日らしい。インドネシアの神話にも日本人は実は救世主として予言されているんだとか。教科書は日本の活躍にかなりのページを割いている状況だと聞いている。まあこれがビジネスに直結するかどうかわからないけれども、ここで中国に発注してしまうと、支持率が下がってしまうのではないか、というくらい親日なのではないか。まあ、これは私が勝手に言っていることだけれども。
インドネシアにとっては日本は特別な存在らしいが、決定はどうなるだろうか。中国案は無理矢理感が強く実現可能性が低そうだし、資金繰りに頓挫するような気もするが。ビジネスに積極的な善意があれば中国も勝てるさ。

* 9月4日のニュースで、インドネシア政府は日中両国案ともに採用しないことを決定、とのこと。表向き、巨額の財政負担に耐えきれない、ということだが、本音は日中両国の熱心な営業活動に辟易し選べなかった、とも言われれている。また、中速度の鉄道で十分だとか。実のところなにを考えたか、はわからないが中速鉄道ならやはり日本の得意とする分野ではある。結局高速鉄道ではなく普通の鉄道の車両をくれ、と言ったところか。
中国としてはメキシコで一者落札して気を良くしたところで、メキシコ政府から「やっぱヤーメタ」(契約できなかったらしい)と言われてしまったので、今回は勝ちたかった。日本は国をあげて「中国には負けられない」戦いを挑んだので、このオチは当然の成り行きかもしれない。頭を冷やせ、というところだろう。

* さらに9月24日、インドネシアは再度高速鉄道建設に向け翻意した、とのこと。今回はどうやら中国側から有利な条件提示があったらしい。日本側としてはいよいよ苦境に立たされている。

* 本日9月30日、朝のニュースで日本案は採用されない、ということだった。 政府保証の有無が決め手だとか。日本案のように「雇用の創出」とか「技術移転」はあまり興味がないらしい。残念だけれども。 

 * 10月1日、新聞紙上で、『中国は地質調査もしていない、駅の数も一緒であり、まったく日本側のコピーである。建設期間も短く、このまま建設すると用地交渉、建設、資金調達、運用と、すべての面でうまくいかない可能性がある。』と報道された。

* 10月2日、掲示板上で「インドネシアの人々が落胆」していることが伝えられる。閣僚から日本側の資料が流れ、それを中国側がコピーしただけで、さらに日本は閣僚に封筒を渡さなかっただけだとも。なんか変な予感がする。個人的な予想として、用地確保前に事業が頓挫し、日本側がODA借款で建設実施もあり、かなと思う。その頃になれば特定閣僚もいないだろうから。中国案では事業遂行を保証するものが何もないような気もする。中国側が建設しているところで、地震が発生し上部工が落下し手抜きが露見するとか、インドネシア側が高い金利に音を上げるとか、十分予想される話である。なんせ特定の閣僚以外は日本製がいいらしいから。日本人はビジネスとして自立できなければ手を出さない。自立が大事である。
大統領が中速の鉄道にするって言った時は、特定の中国を採用したい閣僚が、「どうしても中国にしたい」って主張したけれども、大統領以下「何言ってるの?」みたいな感じだったのかな。でも、強硬に主張するんで、苦肉の策で「そんな速い鉄道いらない」ってお茶を濁すつもりだったらしい。で、今回の条件というのは早く言えば「政府は一切借金しない」ということであるので、たぶん絶対中国を採用したい閣僚が、またまた「中国を採用したい。」って諦めきれずにひっくり返して、他の閣僚から、もしくは大統領あたりに「やれるもんならやってみろ。国民はみんな日本の新幹線に乗りたいって言ってる。だから政府はお前のために金を出すことはできない。国鉄でもない。別会社だ。それでやるんだったら、できるんだったら俺は止めないよ。やれば?」って言われたのかな。今回のストーリーは。これなら辻褄が合う。それなら、その閣僚は契約前に更迭される…かも。あくまでこれは想像上の話だけど。