2012年3月10日土曜日

自治体 公共端末とデジタルサイネージ端末活用(公共端末化)とフリースポット(特にカスタマイズSSIDとオーナー用SSIDの使い分け)

私のこのブログではなるべく『フリースポット』とか『Microsoft』とかにテーマを限って書いているので、行政や課のなかでどういうことが起こったのか、ということを書くことは少ない。こういうことをすると、『守秘義務』に抵触することはないにしてもいつかはそういうことになり兼ねない、し、外部にはみっともないことになってしまうような気がしていたからだ。しかし、手法として面白いネタが発生したので、全国の悩める諸氏のために書き留めておくことにした。
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公共端末というものがある。市庁舎や拠点にインターネットのできるパソコンを置き、市民、施設利用者に自由にインターネットを楽しんでいただくとともに、市からの情報提供や外部に対する情報交換に使ってもらおう、というものである。しかし、行政的な位置付けはデジタルデバイドの解消や情報教育、地域情報化といったたいそうな名目、目的のために設置するものである。本気でそんなことを考えているのだろうか(笑)。正直行政的な目的はさほどないが、反面、行政としての『広告』的な効果は、フリースポットと一緒で多大にあるだろう。その証拠に、情報政策の先進市は『あの手・この手』で公共端末を置きたがる。しかし、総じて『賢明』な自治体はそんなものに興味を持たないが、わが社では図書館が『情報入手』の一環としてすでに実施済みであり、案外人気がある。
これとは別に、証明書自動交付機(業務的公共端末)がある。これは、俗称KIOSK端末と呼ばれていて各種住民サービスや諸証明発行に使用できる端末である。これは、行政としての効果は『窓口』を補完する効果が当然のように存在しお金がかかる割には広告宣伝的な効果は少ないのである。特に、わが社のように市民課の窓口処理が『速い』ところでは、必要性はまず論じられない。

もちろんインターネット時代であるので、両者二種の端末は接近してきており、『多目的端末』とも言えるジャンルを構成しつつある。

今回私が挑戦したのは、前者の『インターネット公共端末』の方である。この分野をめぐってのわが社での見解は『推進派』と『否定派』に真っ二つに割れている、と言ってよい。私も、公共財産の管理部門にいたことがあったので、管理的な側面を重視しこの分野はさほど必要ではない、と考えていた。
年末、個人のハードディスクを整理していたら、『Microsoft Steady State』というものが転がり出てきた。これは知る人ぞ知る『公共端末』作成ツールである。今はもう公開停止されてしまったが会社で夜な夜な中古マシンにこれを組み込んで遊んでいたら、見事に公共端末らしきもの(完全制御というか制限されたネットカフェマシンみたいなもの…。ネットカフェは行ったことないが。)が立ち上がったのであった。

そこで、気をよくして『Active Desktop』を使用し、わが社に関係するコンテンツメニューを作成、表示し、画面上をクリックするだけで、わが社に関連する例えば『ホームページ』、『電子申請』、『体育施設の予約』なんかに行き着くようにした。
また、『Microsoft Steady State』の機能により、『インストール制限』、『マイコンピュータ、スタートボタン表示制限』、『ログオフ時のデフォルト化、削除』、『ファイル保存の禁止』、『利用時間制限』、『外部媒体禁止』などという機能を仕込んでおいた。これにより誰が使って、どんなことをしても(といってもインターネット閲覧しかできないのだが…)、一時間経てばきれいさっぱり忘れてしまういかにもそれらしい端末ができてしまった。
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実は、わが社の市庁舎玄関ホールに民間業者の提供する『サイネージサービス』(電子広告看板)端末が置かれている。普段は、広告クライアントの一覧を表示しており、お客さんが気に入った店や事業者をクリックするとそのクライアントの詳細が表示される仕組みとなっており、そこからその店のホームページに飛んで行く機能もある。言ってみればそれ専用に特化したブラウザや仕組みを持っており、ハードウェアは普通のパソコンである。パネルタッチができる、というよりも画面タッチしか操作者に許さないので特別な仕組みを持っていると誤解してしまうが。
法的には、庁舎利用規則上での目的外使用許可物件である。回線やプロバイダ費用は業者が負担し、庁舎使用料や電気代についても庁舎管理者側から業者側に請求する。しかし、わが社内に置かれているので、画面上にはわが社のホームページへのリンクを置かせてもらっており、その代わりに我が社の広報部門はこの機械に何かあれば窓口となって対応する、ということになっているらしい。ただし、民間のホテル、デパートにおいては、料金を出してこの端末で自社のコンテンツを表示する仕組みを作ってもらい、また有料で端末を置いてもらう、という仕組みももっている。広告料+コンテンツ作成費+機器レンタル料金と言ったところか。やはりそこはビジネスなんだろう。公共の場合はこういう端末で自社の広告を打つ必要はなく、さらに広告したとしても他社の民間のものになるので『占用』物件扱いとなる。

公共端末の設定が一段落したあとで、サイネージの『リンク』をサーバー上で検索してみたら案外簡単に割れてしまった。試しに公共端末(仮)にもこのサイネージサービスへのリンクを作成したら、なんだか業者側の提供するサイネージ端末にヤバイくらい似てしまったので、ここでひらめいた…。
1. 公共端末でサイネージ端末の真似をしてしまったので、そのリンクや使用許諾をとらなきゃ。
2. サイネージ端末で、普通にインターネット検索が出来れば、ふつうに公共端末じゃないのか…。
私の人脈と根回しのうまさ(笑)で、あちらこちらと協議してみたところ、事態は案外意外な方向へと向かい急展開した。
1 については、広告媒体が拡大する、ということで普通に許諾が得られた。
むしろ、2 は民間で配置しているサイネージ端末が絡む。『占用物件』の許可事項に影響する、ということで私の一存ではことは進まない。解説すると、業者側の置いた占用物件としての端末をわが社が一部機能を借り受け、『ホームページとかへのリンク』、『わが社のフリースポットの宣伝』、さらには『インターネット検索』を加えれば、公共端末としてはなんら性質が変わることはないので代替条件として我が部門としては『フリースポットのカスタマイズSSID』の利用を提示することが可能である。公共目的を具備すればさらに庁舎管理者側としても『庁舎目的外使用』における料金は『減免』の取扱いが出来るとのことである。そのほか、『電気代』も請求しているがこれについては減免制度がないのでこれのみお支払いいただくことになるそうだ。もちろん、あくまで許可物件としての権利的な変動はさせない。公共のものであれば管理責任が当然発生し、そういう物件で広告を表示することは公共の物件としての危険性が生じてしまう。この辺で官民の利益が一致点がみられたので、計算すると業者側の節減額は8,000円/月あまりとなる。当然庁舎管理者側の使用料収入は減じることになるがもともとアテにしているものではないので良さそうである(庁舎目的外利用は公法的な行為ではなく民事的なものに近いらしい)。また、我が社の管理部門、広報部門及び情報政策部門は追加費用や負担は一切なしである。特に私共情報政策部門にとってはいつまでたっても進まない『公共端末』について、風穴を開ける出来事になりそうだ…。

で、そのアイデアを起案した。まず、公共端末利用規程というものを規定し、わが社自前の公共端末の目的や利用制限を記載しておく。さらに、最後尾に『民間事業者の展開するサイネージサービスであっても、当市の公共端末の目的に合致するものであれば、公共端末としてみなす。また、その機能、範囲等は別途協議する。』(もっとも本物はもっと堅苦しい文章になっているが簡単に言うとこんな感じ)とし、サイネージサービスの公共端末化の『法源』をここに与えておいた。
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課内協議の結果からまず書こう。自力で配置する公共端末の件については、私の努力不足もありダメであった。理由は次のとおり。
1. 私はあまり物件の管理もしたくないし、朝カフェルームに配置し夕方撤収せよ、という庁舎管理者側の指示もあり、しかも中古マシンで財産的にも情報的にも価値のないマシンなので管理が繁雑になることからセキュリティワイヤはしたくないのだが、そこに異論が発生。もともとは公費が投入されているものの現在としては財産的な価値はないのだから、冗談だが『ご自由にお使いください』ではなく『ご自由にお持ちください』でも処分料もかからず…(これ以上書くと問題発言)。うちの会社は地方中堅都市だが全国的にブランドだからオクでも結構な値段がつくかも…(笑)。(完全に問題発言)
2. 利用者の管理(例えば利用者名簿に記載させるなど)についても、私や施設管理部門(特に庁舎を案内する窓口)はしたくないし、そこから名簿が漏れてしまうこと自体も十分考えられる。しかし、そこでも異論があった。代替策で端末でアンケートをとれという話もあったが、ログオンスクリプトで使う前からアンケートをとるのはナンセンスになるし、ログオフスクリプトでアンケートを出現させるのも、ログオフしてくれなければ無理なので結局難しい、ということになってしまった。
3. 担当者の気分に基づく仕事で(笑)、計画的なもの(なんとか計画、とか…)に仕事の根拠を持っていない。また、将来の展開ビジョンも有していない。
厳しい言葉ではあるが、『できちゃったからやりたい』というのも立派な理由付けになると思う。これができないと、現場での自由な発想を阻害することになる。最近は『できちゃったから結婚する』というパターンも多いことだし(笑)。誰も、将来なんか見渡して結婚してないよな。相手が『そこにいたから』結婚したのであって、『公共端末』があるから実施しちゃう、のも俺的な方法論としては正しい。ただし、私は『できちゃった婚』ではない。仕事には理性はさほど持たぬがそっち方面はかなり理性的である。『いきずり』などはもってのほか。でも仕事上の『いきずり』だったら勢いでやっつける。
4. 庁舎管理者も含めて各方面と協議せよ。特に、近く(案内窓口)にいる職員が対応できるようにせよ。これは正直ムリで明らかに反論。 案内窓口にいる職員は案内以外に仕事の増えることを極端に嫌う。庁舎管理者側もこのことはよくわかっているので、使いかたも含めての指導は時間的な制約があって絶対にできない。むしろ情報政策部門が恣意的に実施する方がよっぽど地方公務員第一条の本旨に基づく能率的な行政の実現といえる。なのでこの方向で行くとすれば、わが情報部門にインターネット利用者を招いて管理簿に記入してもらった上で使いかたを指導する、ことになる。これを我が部門でやれ、と言われればやっぱりみんなやりたくないだろう。いざ、新しい仕事をやれといわれれば急にしぼんでしまう。これが公務員の悲しいところである。先端行政の我が課にあってもそれは同じことである。
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フリースポットの際もそうだったが、こういった部門は常にセキュリティを考慮しなければならない。しかし、本当に真剣に考えると事は進まないし悩むだけ、となる。当然、ある程度は考えなければいけないが、それ以上は考える必要はない。いろいろ考えずに適当にやってみる。本気で実施するならば、不要マシンを利用すれば予算が伴わないので庁内の調整も特に諮る必要はない、と考える。これがこういったものを実施するコツのような気もする。このような暗澹たる結果では、わが社では今後10年のスパンで自前の公共端末を持つことは出来ないだろう…。いわば、今回はまったく庁内の意思統一がなされていなかったし、私も無駄な努力を重ねてあえて苦労する端末を置くことはない、と考えてしまったのでこれ以上の努力はしないことにする。
で、起案書は『公共端末利用規程』を根拠にするものから、『当該端末の地域情報化の要請による市からの情報伝達手段の確保及びインターネット検索機能の付加に伴う、庁舎利用許可上の配慮の依頼』を庁舎管理者側に発行するのみの手続きとするものにささっと作り替えた。
ということで、わが社の『公共端末』はサイネージ端末の公共端末化のみ実施することになったが、それでも民間事業者と共同して『公共端末』を実施しました、ということができるようになったので、今後のわが社のPRに含ませていきたい、と勝手ながらに思っている。
 
この機器を提供していただき、また、当市の都合にあわせ調整していただいた当該民間事業者の方々と普段『管理』しているホームページ管理部門、庁舎管理者には多大な協力をいただいた。まあ、庁内他部署にありがとう、ということはまず無いけどこのブログはあくまで個人としての主観だからね…。

将来的に、公共端末を利用して各拠点の窓口間でテレビ電話を行ったり、という構想はあるものの、その展開をいきなり図ることは出来ないだろう。こういった業務を実現するためには、ちょこっとやって修正し、またちょこっとやってまた修正し、を繰り返してニーズを拡大させながら全体の方向性を模索するのが良いのではないかな。

この部門に10年いるが、その間に私も『仕事をする』というところから『仕事をつくり出す』役割に段々変化してきたような気がする。でも、そろそろ任期切れ(御役御免)の雰囲気を多大に感じる。
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前掲のSyslog収集障害であるが、今回また再発してしまった。
サイネージ端末からのアクセスにあっては、SSID『freespot』に接続するのはメール認証などという面倒臭いことになってしまうので、当然その他のSSIDを立ち上げなければならない。もともと本庁のFS-G300NはSyslog収集障害が発生しており、公共端末実験中に『カスタマイズSSID』の必要性があり、設定変更したらなんとSyslog収集障害が直ってしまう、という信じられないうれしい結果がもたらされた。
バッファローと『不思議だね〜』などとやりあっているさなかに、今度のサイネージ端末の『公共端末化』が急浮上したので当初『カスタマイズSSID』でやろうと思っていたが、実際それでオペレーションしてみたら違った問題が発生した。カスタマイズSSIDでは端末立ち上げ時に『○○本庁フリースポットへようこそ』画面が割り込んでしまう。これでは都合が悪いので、バッファローサポートに連絡したところ、セキュリティに問題がなければ『オーナー用SSID』を使用すればいいとのこと。特に攻撃されてまずいものも置いていないのでやってみた。
『カスタマイズSSID』を殺し『オーナー用SSID』を立ち上げた。いやな予感がした。サイネージの無線LAN設定が完了し、この仕事は気持ち良く終わるはずだった…。
この結果、設定変更時からSyslog収集は再度できなくなってしまった。当社のSyslog収集はなぜかボロボロである。

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