2021年7月6日火曜日

熱海市の土砂関連の規制について

  こういった重大な事例をとりあげるのも憚られるのだが、熱海市及び静岡県の土砂関連の規制について調べてみたので、メモとして記載する。その前に、今回被害にあわれた方に心からお見舞いを申し上げるとともに、亡くなられた方及びそのご家族の方には心よりお悔やみ申し上げます。

 私の立場として、どこに責任があるとか、そういったことは明言しないしできない。ただ、今回の規制がマスコミもネット民も理解していないと思われたので、また、県知事もこういった末端行政は部下から聞いてもわかるかどうか…参考までに淡々と記述したい。特に、言いたいことは静岡県特有の背景もある、ことだ。

 また、当該地や関連する会社を間違えて『特定』し、ネットに載せてしまう方がいるのはつくづく閉口してしまう。近隣の崩れていない分譲地の販売元やカタログまで載せてしまっている。因果関係が不明確なのに近隣地のメガソーラーを云々するのもどうかと思う。品位と常識をもち、自分が誤爆されたら、と常に自分に置き換え情報発信をしてもらいたい。

 【森林法】

・当該盛土地が森林法の地域森林計画に定める5条森林かどうかを調べないといけない。もし該当すれば、下記の流れとなる。

・当該盛土地は1ha未満なのか。1haに達していれば、森林法上の林地開発に該当し、県農林事務所へ林地開発の申請を行い許可が必要となる。ただし、現在県から市に対する権限移譲の動きがあるが、熱海市は俎上にのっていないと思う。

1ha未満であれば、小規模林地開発の届出が必要となる。静岡県は市に法令の権限がなくても権限移譲を進めているので、もしかしたら小規模林地開発は熱海市がやっていて市に「届出」しているかもしれないが、報道では森林法関係の規制(というかプロセス)についてはあったかどうか、また熱海市に届出るものであったかどうかは私はわからない。

後日追記 小規模林地開発は熱海市で取り扱っているようだ。

 【都市計画関連】

・普通なら森林を「宅地化」するなら、市の開発行為、土地利用案件となり、申請、許可が必要。しかし、市(独自の)開発行為、土地利用規制については、ホームページでは見つからなかった。

(熱海市ホームページより) 『熱海市は、全域が非線引き都市計画区域となっており、3,000平方メートル以上の「開発行為」を行う場合は、都市計画法の規定により静岡県知事の許可を受ける必要があります。なお、平成1841日より、静岡県から熱海市に権限が移譲されました。』

・森林から盛土を経由して再度森林となるなら、開発行為、土地利用規制に該当しない、と許認可側(県もしくは市)は考えたかもしれない。

・宅造、分譲目的だったとも報じられているが、都市計画関連での規制や許可があったともいまだ目にせず。宅造法関連では規制地域だったとも。

盛土規制関連】

・熱海市に盛土・埋立規制の条例はなさそう。

・マスコミによれば、県条例(静岡県土採取等規制条例)による届出(07)が熱海市にされているとのこと。11年に完了報告。

・上記報道によれば、熱海市の場合、1ha以上は土木事務所へ届け出るが1ha未満は市に届け出る、らしい。

・読売新聞https://news.yahoo.co.jp/articles/92c0e93537b41d71c7663fedbdb30eeed85730ba 『県と熱海市によると、この付近の開発については07年、神奈川県内の企業が県土採取等規制条例に基づき、市に工事を届け出た。11年頃に完了報告があり、今回、この工事による盛り土が崩れた可能性があるという。』

・静岡新聞https://news.yahoo.co.jp/articles/592e99f0ad5950563aad09cc34bb8cf8e604aa6f 『県土採取等規制条例は面積千平方メートル以上、体積2千立方メートル以上の土地改変を行う場合、県に届け出をするように定めている。ただ、全国一律で盛り土を規制する法律はないため県内の自治体が国に整備を要請していた。』

・問題の県条例

静岡県土採取等規制条例

 (土の採取等の計画の届出)

3条  土の採取等を行おうとする者は、当該土の採取等に着手する日の30日前までに、規則で定めるところにより、当該土の採取等を行う場所ごとに、土の採取等の計画を定め、知事に届け出なければならない。ただし、非常災害のために土の採取等を緊急に行う必要がある場合は、この限りでない。

(適用除外等)

14条 この条例の規定は、次に掲げる土の採取等については、適用しない。

(2) 法令に基づく許可、認可、届出等に係る土の採取等で規則で定めるもの

(3) 2号に掲げるもののほか、通常の管理行為として行う土の採取等、軽易な土の採取等その他の災害の発生のおそれが少ないと認められる土の採取等で規則で定めるもの

2 前項に定めるもののほか、市町が、当該市町の区域内における土の採取等(2条第2号の行為及び当該行為を行う場所を含む一団の土地の区域において当該行為と一連の行為として行われる同条第1号の行為に限る。以下この項において同じ。)について、この条例の規定による土の採取等の規制に比べ、その規制の態様及び違反行為に対する処罰の程度を強化する条例を施行した場合には、当該条例の施行の日(次項において「施行日」という。)以後当該条例の規定の適用を受ける土の採取等については、この条例の規定は、適用しない。

静岡県土採取等規制条例施行規則

(適用除外)
第8条  
2 条例第14条第1項第2号の規則で定める土の採取等は、次に掲げるものとする。
(2) 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)第8条第1項又は第15条第1項の規定による許可に係る土の採取等
(4) 森林法(昭和26年法律第249号)第10条の2第1項又は第34条第2項(同法第44条において準用する場合を含む。)の規定による許可に係る土の採取等

 【産廃関係】

・県の健康福祉センターで所管している。

・一部、産廃を埋めていた、という話が出ているが、産廃は基本「無価物」であり、有価物と考えている土砂は産廃では取り扱わない。今回、土採取の条例の適用の話が出ているので、過去は土砂として取り扱っており、産廃規制は適用外だったと県は判断したと思われる。逆に言えば、もし産廃だったら、土採取条例第14条各項に定める通り、土採取条例は適用外になったと思われる。もし産廃の投棄が認められたなら、その時点で土採取の規制適用は見送るべきだったのでは。

 【熱海市の状況】

・都市計画関連での規制があったのかどうか読み取れない。開発行為規制を県にお任せにしてきたのかもしれない。これもその後の県の権限移譲により市の所管事務となったが、形質変更、山林に復す目的で開発行為、土地利用規制を適用する意思が働いたかどうかはわからない。

・森林法については、5条森林該当の林地かどうかはわからないが、当該地は1ha未満と思われ、伐採届+小規模林地開発の届出が必要となる。その届け出を農林事務所で担当していたのか市でやっていたのかどうかは判然としない。ただし、森林法の開発行為規制についてはあまり強制力がいまいち不明で、事後の届出でも出してもらえればいいですよ、という立場である。もし、熱海市で小規模林地開発の届出をやっていたら、少なくとも、危険性の把握はできたかもしれないが、そもそも国は県を前提に森林法の運用をしているのだから、それを安易に市に権限移譲するのはどうか。

・盛土条例の不存在。熱海市はこの条例がなかった。この条例は申請・許可制度であり、谷埋めや腹付け工法はなかなか許可しない立場である。もし許可となっても相応の排水施設を設けることが条件となるかと思われる。その場合例えばアンカーや水抜工、流末の工事をさせる必要がある。また、水路、赤道といった公共用財産はそのまま埋められてしまうと困る場合が多いので、機能の確保を前提に付け替えや工事の条件化を事業者側と行っていく必要があると思う。

・都市計画関連の規制も消極的に思われる。線引きは不存在で、市独自の土地利用対策要綱などはないのでは。しかし、熱海という地域性ゆえに宅地開発関連の規制はあえてしなかったのか…。

【静岡県の傾向】

・権限移譲だらけで、実質行政の中身が空っぽになってきている。県で、こういった問題に対し機能しているのは産廃規制のみで、森林法、都市計画法さらに盛土までも市に権限移譲の名のもとに負担を求めている。聞こえはいいが、重大な事案が発生したときにどう対応するのか、県知事に聞きたいくらい(今が…)。他の県では基本的に県がやっている。この体制は今後問題化すると予想している。全国で一番権限移譲が進んだ、と静岡県は吹聴しているが、実態は法律に定めがなくても市に押し付けたという現実に気づくべきである。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48878910S9A820C1L61000/


・森林法もしかり、権限移譲をしているが、そもそも森林法の規制までも県は市に移譲していると勘違いしているのでは。違反対応、告発は県がやるべき事務であると思う。大部分の県内市町に対する権限移譲の範囲は、伐採+小規模林地開発の『届出』までにとどまることを県(農林事務所)は確認すべきである。

・盛土・埋立て(県で言うところの土採取条例)でも、市のほうでもっと厳しい条例があれば、そっち適用でいいよーって言ってしまっている(第14条第2項)。隣の神奈川県は、盛土の範囲数量が多くなれば、県の許可となっている。搬出規制もある。静岡県は実質盛土規制を市にお任せ、という実態があると思う。常識的には逆だろう。数量が多く、公益に重大な恐れを来す事案を県は処理すべき話である。ただし条例上届出なんで、危険性に対応した修正はこれではできない。措置命令、停止命令があるのだから申請許可に改めるべきだろうが、形骸化し事実上運用が不完全となっている本条例を廃し、市町の盛土条例と整合性を図った上で(神奈川県方式の条例を参考に)再構築することを今後考えなければいけない。

・都市計画関連は多くの市で県と市の二重規制である。一定規模を超えると県の土地利用審議が市の土地利用のあとにかかってくる。熱海市の場合、前述のとおり市独自の規制は消極的である。HP3,000平方メートル以上の開発行為は県の許可だったけど熱海市に権限移譲されたんでやります、とわざわざHPに書いている。少なくとも、行きすぎた権限移譲のため、責任の不明確化が今後発生する。

 ・再度言うが静岡県は権限移譲だらけで、行政が分からなくなっている点が挙げられる。違反事案を市に告発させるのか。そこまで移譲事務にないのでは。

 最後に、盛土と言っても省庁をまたいだ法制、各自治体の条例が入り組んでいる状況であり、このような事態は今後また起こりうると思う。盛土については是非国の法制化を実現し、安易に基礎自治体に権限を渡さないかたちで運用してもらいたいと願うばかりである。

7月7日追記

静岡県副知事によると、1ha近い開発面積で違法だったため林地開発の指導が行われたんだとか。その上、産廃(木屑)の混入が認められたため、保健所の指導も入った、とのことである。土採取による届出、完了も行われている。

これを聞いて、一層疑問点が浮上した。

1 まず、林地開発の違法性の中身はどうだったのか。1ha近いとは以上なのか、以下なのか。それにより、森林法の適用の仕方が全然違う。1ha未満を予定していたけど、抜根は1ha以上認められた、ということか。そうなると、森林法の許可対象となる。それとともに、(大規模市を除いて)農林事務所が完全に所管することになる。当時、違反として是正指導、申請指導をどれだけやったのか検証する必要がある。

→ 会見を確認。盛土は1ha未満の計画だったが、伐採面積が1haを超えたので、県森林法(林地開発)の指導が入ったそうである。その後余分にやったところは植栽により回復させたので、開発面積が1haを割り込み林地開発とはしなかったらしい。実は森林法はよくこの手を使い、林地開発とはさせない傾向が強い(言葉は悪いが行為後に脱法行為を指導しているように受け取られかねない印象、法律が悪いのか。)。ただし、開発面積が1haを切ることになるので、『いろいろ調べて事業者とも交渉したけど、今回は森林に戻すって言ってるからさ、残った部分は市さん頼むねっ』ということで、市に小規模林地開発の届出が必要である。

【提案】

 一度、県農林事務所で森林法違反として取り扱ったものは、違反部分を経過観察するという意味で市には引き渡さず、県で引き続き取り扱う、というルール化が必要である。最初から小規模林地開発で行われるものはまっとうな業者が多い印象だが、盛土が絡むような事案は大体、この事案のように開発面積がギリギリ1haを切り、承知で違反行為を繰り返す。県で違反として取り扱ったならば、最後まで県で取り扱うべきである。廃棄物の混入があればなおさら(県健康福祉センターも出てくるので)、森林法も県で取り扱うべきである。

 現在の森林法の指導は林地開発の未申請違反事件を林地開発にならないように指導していることが常套手段化しているように思える。概してそれは数字上の話でありその『違反事件』を形式上是正した上で、小規模林地開発とし、市に押し付けてしまうかたちに事実上なっている。その体制が、安全と公益に対し、重大な災危をもたらす恐れを内包させるものであった、と思えるのだ。

【更に疑問】

 副知事の会見を見ていて思ったのが、本件とはあまり関係ないが左側の太陽光パネルの張られた部分の下の方、緊急伐採って書いてあったのだが、それなのになぜ太陽光パネルがあるのだろう、って報道諸君には思ってもらいたかった。現在の森林法の運用はそういうものなのか。非常に残念である。

2 土採取条例については、報道を鵜呑みにするなら1ha未満だと考えられ、熱海市に届け出た。まあ、抜根は1ha以上だけど、盛土は1ha未満だったと考えれば矛盾はしないものの、面積の点で矛盾する。また、決定的な矛盾は、林地開発案件だと県が考えているにも関わらず、届出、完了が熱海市にされている点である。林地開発案件であれば、土砂条例は手を出さなくていいことになっている。県条例第14条第2号に定める『(2) 法令に基づく許可、認可、届出等に係る土の採取等で規則で定めるもの』に該当し、熱海市は県条例の適用を本件行為については(森林法違反状態ならば)停止もしくは(許可の見通しがあれば)拒絶すべきであった。完全違法とはならないが、これはかなり誤解をもたらす行為で、業者側は『農林事務所の連中がこの頃うるさいけど、土採取条例については出しとくからこれで勘弁してくれ』と勝手に解釈した結果かもしれない。また、ここにも、権限移譲の悪弊が表れてしまった、と考える。

→ これも、最初が土採取の届出であったが、そのあと林地開発の違反となりその後小規模林地開発の案件(市に届出)となったので、土採取条例上は適用除外とならなかった、ということらしい。

3 産廃と森林法の関係も気にはなるものの知識がないので明言できない。ただ、産廃を『無許可で投棄』は刑事告発案件では?。となると、行政的には原状回復命令?。もしかして、産廃が原因で林地開発の処理が進められなかった?。わからない…。ここはその道の行政経験者に教えてもらいたい。コメントよろしくお願いいたします。

4 ここまでまとめると、これは、

・静岡県土採取等規制条例により熱海市に盛土の届出がされていた。県条例ではあるが、県から市に対する権限移譲の結果である。

・また、森林法についても、1haを超える違反が一時認められたので、県農林事務所の指導により違反した面積部分に植林させその結果1haを切ったので、1ha 以上の林地開発許可を担当する農林事務所は引っ込み、届出で済む1ha 未満の小規模林地開発を担当する熱海市に届出をさせた。これも県から市に対する権限移譲の結果である。

廃棄冷蔵庫、木屑など産廃の混入もあったが、この処理顛末は現時点で不明である。この結果から、産廃はおそらく権限移譲はない。


* 赤字は県副知事の会見を聞いた上でのコメントとなる。

7 件のコメント:

  1. 宅地造成等規制法に関するコメントは頂けませんでしょうか

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  2. 了解しました。私は都市計画関連の法令は詳しくないのですが、本件に限って言うと行政は『関係ない』と判断したと思います。宅地造成等規制法は宅地造成『目的』のみを規制します。また本地は規制地域らしいので宅造目的であれば申請・許可となります。しかし、本件では少なくとも宅造として判断した形跡がありません。詳しく時系列で解説しますと、

    ① 土採取の届出を行う。この時点で宅地造成等規制法の適用可能性はありません。なぜなら、県土採取規制条例第14条及び規則に、宅地造成等規制法により許可が出た盛土は土採取条例の適用除外だと明記されています。

    ② 伐採抜根で1haを越えて、植栽、種子吹付けの指導を県農林事務所が行う。これは、あくまでこれは1haを超える部分について、山林に復することをこの時点で命じたものであり、この部分は明らかに宅地造成等規制法の対象外です。あくまで山林に復するわけですから。また1haにおさまる部分の造成目的については、県の資料によると不明であり宅地造成目的という可能性もありますが、おそらく、目的を雑種地としている可能性が高いと推定しています。



    もし宅地造成等規制法により許可を出していれば、言い換えれば小規模林地開発部分で宅地転用目的なら、土採取条例による届出は一切不要である、ということになるため、多分目的は雑種地の造成で、実態は捨土だったんではないでしょうか。



    土採取も宅地造成等規制法も県の仕事のはずなのに、ここでも権限移譲で熱海市やれよってなってます。私はこちらの方が気になっています。



    ○静岡県土採取等規制条例



    (適用除外等)

    第14条 この条例の規定は、次に掲げる土の採取等については、適用しない。

    (2) 法令に基づく許可、認可、届出等に係る土の採取等で規則で定めるもの



    ○静岡県土採取等規制条例施行規則



    (適用除外)

    第8条

    2 条例第14条第1項第2号の規則で定める土の採取等は、次に掲げるものとする。

    (19) 宅地造成等規制法(昭和36年法律第191号)第8条第1項の規定による許可に係る宅

    地造成工事に伴う土の採取等

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  3. 早速のコメントありがとうございます

    道路、河川等の公共施設以外の造成面積500m2を超えるものは対象になると言う認識でしたので疑問に思っていました
    確かに目的が雑種地であれば適用外もありうる訳ですね


    土地の形質変更については
    宅地造成等規制法→都市計画法=森林法→土砂条例
    宅地造成等規制法が上位法になる認識でしたので
    なぜ、法律を条例で基準を適用から外してしまったのかについては
    運用について疑問が残ります


    実態が捨土である事に関しては同感です
    また何かありましたら質問させていただきます。

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    1. お疲れ様です。しかもかなりの識者の方とお見受けいたします。
      市町の盛土条例も、似たような形で産廃法、農振法、森林法、砂利採取法、鉱業法、採石法、都市計画法の開発関連規定の許可について適用除外としていますが、宅地造成規制法のかからない区域については当然記載がない場合もあります。むしろ、都市計画法の開発関連規定を市で運用している自治体はむしろそちらで規制しますので宅地造成規制法の直接の適用はいらない、と考えたんでしょうか。それに加えて建築確認も許可と見なし盛土適用を除外する場合もあり、法令上位の『許可』は盛土条例の適用範囲外と考え、法律の本来の運用に手出しをしないルールになっています。そういった意味で、今回の案件では、盛土(土採取条例)が、なぜ止められなかったか、機能しなかったのか、を議論するのではなく、なぜ、土採取条例の適用になったかをまず議論する必要があるんです。正直マスコミは間違った方向に進んでいます。
      ですので、森林法の開発許可があれば盛土条例からすれば適用除外ですが、1ha未満の本件では小規模林地開発届出+盛土届出(もし、市町の条例適用なら許可)となり、届出なので極端な話、出してもらえれば構わないよ、という立場となります。それから面積要件の違反があって、このまま施行を継続すれば、林地開発申請許可が必要です、小規模林地開発で済ますためには、違反部分を山林に復してください、という指導がされたようですが、実際は県は種子吹付の指導を認めてまして、種子吹付というからにはすでに盛土行為がその時点で認められ、しかも残土処分目的ですでに熱海市に土採取の届出してますよね、熱海市には残土処分目的、でも県農林は山林に復する指導してるよね、山林回復と残土処分は矛盾する、県の報道発表の時系列は入れ違っているんじゃないか?。この時点で、この矛盾を解決させるためには、林地開発許可をするしかなかったんじゃないか、というのが本稿のストーリーとなります。静岡県にはしっかりとこの部分を検証していただきたいと思います。
      長文申し訳ございません。

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  4. 業務として開発行為や林地開発の許認可設計を行っていた立場の人間です

    熱海市から違法な盛土や産廃の不法投棄が報告された段階で林地開発許可&産廃法を前提に話を進める。当然検討検討項目やハードルは一気に上がりますが、適切に処理されたいたのではないかと考えてしまいます。
    県が種子吹付を認めていたんですね?状況を考えると分らないではありませんが、結果的に行政指導で盛土を容認したと言うのはやはり残念です。
    やはり1haを超えた段階で林地開発許可と照らし合わせて審査する必要があったのではないかと思います。
    静岡県からは運用の不備を認めた上で新たな条例と言う記事があり、正直がっかりしています。新たな法整備は更に判断基準を曖昧にして今後の指導に悪影響が出ないかと危惧しています。

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    1. 県農林事務所としたら、『厄介な案件があって違反ぽいんだけど、1ha切るように植林させれば、あとは県が市に権限移譲している小規模林地開発届出と土採取条例届出になって熱海市に押し付けることができる。自分の手を離れて幸せ。』という体制なんです。本来、土採取も小規模も県がやるべきもので、市に押し付ける中で、違反を是正すれば小規模林地開発になるという静岡県独自のルールが横行してたのではないか、と思います。ちょっと言い過ぎかもしれません。これは県本課の見解を待ちたいと思います。
      また、是正はそもそも森林としての用途を失われなければ是正は可能と思えますが、底地が既に『残土処分』という目的でしたので、森林回復はその時点であり得ません。ですので、是正指導は意味がなく、直ちに森林法申請を命ずるべきものです。
      県の新しい盛土規制についても同感です。いくら厳しくしても、条例である限り森林法、農地法の領域を侵すような真似をするのか、日本の自治体である以上それはできないと思います。静岡県としては、森林法の運用と権限移譲の見直し、国としては土砂搬出、運搬及び搬入の規制、それと全国統一した産廃のようなマニフェスト制度の導入が必要です。

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    2. 自治体の盛土規制は、言ってみれば土砂の搬入規制であり、それでは限界があるということです。搬出時に規制をかけ、無許可運搬は即摘発、搬入時にも搬出地の証明がなければ盛土は禁止くらいに変えないとまた人命は失われることになるのでは、と危惧しています。

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