2025年4月5日土曜日

合衆国関税

 私は貿易や為替の専門家ではないので、正確なことは言い難いし分析もできないのだが、今般の話題になっている関税については、合衆国政府より先に国民が音を上げるのでは、と思っている。

というのも、単純に合衆国内の一般消費の「物価」を押し上げるだけで、かといって、一般消費者の賃金を押し上げるものではないからだ。確かに、大統領閣下の支持者たちは迎合的に支持をしているかもしれないが、この結果、家計は圧迫されるような気がしてならない。本当に、目の前の権益に目がくらんで、5-10年先が見えていないような気がしてならない。

イギリスやオーストラリアが10パーセントなのは、「大英帝国」優先なのか、所詮は米国もいまだに大英帝国なのか、と思ったりもする。トンチンカンな部分がどうしてもある。どうも人種差別というか国籍排除というか、そんな原理主義的政策が見え隠れしてもいる。

修正は必須である。各国はかなり不穏な動きも視野に入れざるを得ないし、各国に対してはむしろハルノートの一歩手前のような形となっているのだが、前に述べたように先に「国民が音を上げる」政策なので様子見である。

日本の場合、報復はしないほうがよい。これは、我々消費者を守ることにならない。むしろいじめる結果になる。まあ、国内産業の保護と進展につながる政策ではあるが、日本人の若者は、iPhoneが買えなくなったら暴動を起こしてしまう(笑)。アップルの製品の場合は陰で日本の企業もたくさんの「権利」があるので、むしろその会社が「不況」になってしまう。例えば、「アイホン」と言ったらわかりやすいだろう。今後、このような不当(といっても当の親分は当然の権利と言っているが)な行為に対しては、相当な「ダンピング」で対抗する企業が出てくるのでは、と思う。(しばらくは過去最大の企業内部の留保があるので。嫌味だが。) しかも、日本企業としては12年前の倍の円安となっているので、関税かけられても(笑)と言うところもあると思う。ただし、極端な政策となるので、世界的に見れば「抜け荷」も出てくるのでは。

話はそれるが、金利や為替の専門家に言わせると今の円安傾向はいろんなものの組み合わせと言っているが、私的には、大統領が「ウクライナ支援をやめる」と言ったら収束に向かってしまうし、EUが「ヨーロッパの枠組みを守るため、ウクライナの支援は必須」といったら、ユーロ高となる、と思っている。要は、世界のどこで「投資」「生産」「販売」「決済」されるかで、必要となる貨幣の価値が上昇するのである。

後先見ずに、このような政策を打てばこれ混乱は当然免れ得ないし、米国に限って言えば、「ウクライナ戦争で、米国は税金で武器を支援することで世界中の投資家の支援を米国内の軍需産業に呼び込むことに成功した(↑ドル高、米国株高)。」だけの結果である。だから、ウクライナ戦争をやめろとか、ロシアと仲良くやるとか、そういった傾向は、ここ2-3年で呼び込んだ米国宛投資を減らすことになるのが必然、に見えてしまう。

米国内の今般の対応は、実はドル高傾向の是正であって、各国に資産を移転させ、資産価値を減らす、株価是正、といった目的を持ち、ウクライナ戦争終結までも視野に入れてやっていたのなら、想像を超えるすげえ大統領、である。こういう落ちなら、成功例として?歴史に名を残すことになるだろうけれども、これが行き過ぎると、金融の「米国支配」の終焉をもたらしてしまう。

日本にはたくさんの中国製品が入り込んでいる。これに50パーセントの関税をかけたとしよう。たくさんの製品が値上がりしてしまう。政府はいいかもしれないが、日本国のせっかく作り上げた所得の再分配装置が壊れている状況なのでうまく配分することができない。さらに労働者は貧困に陥ってしまう。日本はほとんど総中流であったが、今はかなりの家庭が貧困に陥っていることに気付くべきである。そんな中で、貧困層の我々は中国製品に助けられている。iPhoneなんて買えないが、HUAWEIだったら今でも欲しいと思う。今般の政策関税は無視をして、安く製品を提供してくれる中国とは仲良くしておいたほうがよい。当然、無視をするので、米国とも仲良く付き合うしかない。決して、日米条約廃棄などと言ってはいけない。先の日米戦争は経済問題が引き起こしてしまったが、経済的な対外関係を遮断し自国を保護する政策はすべて自国民のためなるとは限らないことに気付かせること。リスクが総じて高すぎる。もう一つ付け加えると、これは教科書に載るような結果を米国にもたらすような予感がする。失敗事例として。

国際協調路線をとることは日本国憲法の精神である。行き過ぎた政策は必ず反動がある。経済は人の心よりむしろ数字でわかる。過去の戦争で日本を叩きのめしても、決して米国のためになっていない事実もある。つまり、米国のプレゼンスが東アジアに拡大し米国投資はそちらに向かい、その分、戦前戦中に軍事方面に向かっていた日本の投資が、戦後国内に集中投下され生産された工業製品(鉄鋼、コンデンサ、半導体を基礎とした電化製品、自動車)が米国を席巻した過去があるではないか。両国の経済連携と友好を最優先に考え報復は待ってほしい。

2025年3月1日土曜日

ロシアとウクライナの戦争の行方

なにやら、合衆国とウクライナの大統領が揉めたらしい。そして世界中が心配している。マスコミが言うには、副大統領が、一国の大統領に対し、感謝していると言えって言ったらしい。例えば、副社長が取引先の社長に対し、俺らの支援に感謝していると言ったらどうだ?って言ったようなもので、日本人の感覚からすると、礼節に欠けるきらいは否定できないように思う。

文意を分析すると、米側が高圧的なんだけど、ウクライナ大統領が聞いてもいいか、と言い、クリミアの侵攻の時からアメリカの大統領何人か変わってるじゃんね、どうよ、っていう問いかけが発端だったらしい。これを、アメリカ大統領は「人々が戦って血が流れて残念だと思っている、支援はヨーロッパとともに継続する。」とでも言えばよかったんじゃないのかな。無難な返しで済んだのに、単純に答えられない、そもそも質問なんてするな、失礼だ、侮辱するな、となってしまった。

その後、合衆国側のコメントは、「この場所を、アメリカを侮辱した」と。議論すり替えが見事起こって、相手の大統領はひどい奴だ、という話となってしまったが、礼儀という意味なら合衆国は戦わずして負けている。むしろ、品位のない会談は人気を陰らせないだろうか。

さらに思うのは、案外、ウクライナ大統領、この質問に対して、アメリカが「謝罪」か「激怒」に陥るのを読んでいたのでは、という点である。あくまで、体裁的にはウクライナ側が懇願するように見せかけといて、実はこれまで以上の支援を引き出す賭けに出ているのでは、と深読みしてみた。あくまで、合衆国側は単純な受け答えのみで、一手先、二手先は読んでくるものの、五手先までは読めない、選択肢も見えていない。しかし、ウクライナ大統領は本職コメディアンである。伏線を回収するのでは、というオチを描いているのかもしれない。

米国は大統領が変わって国益が変わってしまったようだ。ただし、比較的国際問題は予定調和的に解決が図られるので、まだいい方向に流れるとは期待できるもののハラハラする展開になってきている。

確かに、ウクライナが実力通り「負けて」しまえば、大統領が即座に退陣し親ロシア国家に転じれば、ここまでの犠牲はなかったし、合衆国の武器供与もなく合衆国の予算も使わずに済んだ。合衆国の大統領はそのことを言う。一国の大統領に対して、「優秀なセールスマン」と揶揄するくらいである。

しかし、ヨーロッパの専門家も米国の専門家も、そんな単純に終わるものでない、ぐらいのことは予想しているのではないのかな…。

かつて、米国は戦争に対して、挑発や恫喝を繰り返し、我々は挑発に乗ってしまったではないか。ただ、その後の調和的な世界を見ると、あたかも米国は戦争相手を間違えたようでもある。要するに、我が国は、一矢報いることが目的となってしまったが、合衆国は、戦後、アジアでの覇権(市場確保)を確立する、というのがあくまで目的だった。

それが果たされて、地域経済とか、平和に寄与できたのか、と問えば、35点くらいかな、

ただ、日本の描いてきた版図や平和の維持、というものは、60点くらいつけられるか…。

合衆国の頭脳は、なるべく話を単純にして終わらせようとしているが、物事は万事継続するので、実は終わりなんて考えないほうがいいのかもしれない。

話を本題に戻そう。

喧嘩してしまったこの問題は今後どうなるか中立的な立場で予想してみたが、なんとか早めに、双方の人命が失われない形で終結することを願っている。

・予想1 合衆国からの支援が途絶え、もしくは支援の低下を受けてウクライナの経戦能力が低下、降伏または停戦合意。ただし、可能性少。)ただし、降伏という形はなくて、撤収&経済協力とかの形になるのか?。→ 合衆国がプレゼンスを失い孤立化…?

・予想2 合衆国内部の政策反動が起き、支援継続、戦争長期化。かの大統領も策を失い支援継続しか選べなくなる。さらに、西側からの派兵も可能性としてはあるが、戦火が拡大してしまうので、そこまでの可能性は少ないだろう。

・予想3 ヨーロッパはウクライナに戦ってもらいたいらしい。となると周辺国が一斉にロシア国境を越えるパターンが浮上する。戦線が拡大し、犠牲が増える。陸上戦で疲弊。戦争は消滅に近い形に。これは自制の気持ちのほうが当然強い(我が国もこのパターンでは関係国ではある)。 → 細分化されさらに複雑なことに。